成年後見制度を利用した場合、先日述べた「公的機関が関与」することにより、パブリックな財産管理が行われます。
このパブリックな財産管理では、本人や本人の家族にとってのメリットとデメリットがあります。
今回は、デメリットについてご説明します。

●家族が本人の成年後見の申立を行ったにもかかわず、その親族が成年後見人に選任されてない場合が多い。
・各都道府県によって財産ルールがあり、本人の財産が一定額を超える場合、家族が成年後見人に選任されない場合が多いです。
・仮に家族が選任された場合でも、別途後見監督人が付けられたり、本人の金銭を金融機関に預けるように指示される場合(後見支援信託)があります。
・このような家族だけで財産管理するような、ある種のプライベート性を極力排除する傾向にあるといってよいです。
●面識が全くない第三者に本人の財産を管理されます。
・家族が成年後見人に選任されない結果、面識のない第三者が成年後見人に選任されます。
・当然のことながら、心理的抵抗感が強く持たれる方が少なくないです。
●コストが発生します。
・初期コストが発生します。成年後見の申立の費用が発生します。
・ランニングコストが発生します。成年後見人の報酬を「本人の財産」より支払う必要があります。この報酬額は、裁判所が決定します。報酬額は、本人の財産状況によって異なってきます。
●基本的に本人のため以外の出費は認められません。
・よって、本人の財産から何かのお祝金や家族のお小遣いや生活費等も支払えなくなります。事情によって、認められることもありますが、期待しない方がよいでしょう。
●本人の自宅の売却等に関して裁判所の許可が必要となります。
●後見制度を一度利用すると、基本的に止めることができません。
・但し、家族が成年後見人が不適格と考える場合、家庭裁判所に解任するよう申立をすることはできます。しかし、後日、新たな成年後見人が選任されます。