●もちろん、民事信託も成年後見制度も、本人のために本人の財産を管理するという点は共通です。 しかし、その管理の性質が大きく異なります。 

●両者の違いは、本人の財産を公的な管理下に置くか、あくまでも親族間だけの管理下に置くかという違いです。

●成年後見制度では、①成年後見人を裁判所が選任⇒②成年後見人が本人の財産を管理⇒成年後見人は、財産管理等を裁判所に定期報告します。ようは、本人の財産を国が管理しているようなものであり、統制を加える感じです。以後、これを「パブリックな管理」と呼んでいきます。

●一方、民事信託では、①本人と本人が信頼すべき親族等が信託契約を締結⇒②親族等は、受託者という立場で、本人の財産を管理⇒③年1度、受託者は、本人に財産状況を報告します。
民事信託は、成年後見とは反対に、公的な機関、第三者を一切関与させることなく、親族だけで財産を管理しますので、親族間の自治性を尊ぶ感じです。以後、これを「プラベートな管理」と呼んでいきます。

●なにやらこれだけ読むと、民事信託がベターという感じがするかもしれません。しかし、以前にも申し上げたように、本人とその親族の状況によって、やはり善し悪しがあるのです。